※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいていますので、最新の法令・情報のご確認をお願いいたします。
不動産広告のルールについて
不動産広告を行う場合には、宅建業法、及び、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)の2つのルールに従わなければなりません。
不動産広告を行う際には、まず宅建業法に基づいた規定と表示規約に則ったルールに従わなければいけません。
これらのルールは、消費者を守るために設けられており、適切な情報提供と公正な取引を促進することを目的としています。
不動産広告を行う際には、これらの法令を遵守することが重要です。
【1】宅建業法
宅建業法における広告に関する主な定めは、誇大広告の禁止、広告開始時期の制限、取引態様の明示の3つです。
(1) 誇大広告の禁止(宅建業法32条)
宅建業者が広告をするときは、宅地・建物の所在や規模や形質を現在、もしくは将来の利用の制限、環境・交通、その他の利便性や代金・借賃等の対価の額、又その支払方法や代金あるいは、交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をしてはなりません。又、建物や土地を実際よりも良く見せるような誇大広告は禁止されています。
これらの規制は、消費者を守り、公正な取引を行うためにあります。
宅建業者が広告をする際には、建物や土地の情報を正確に伝えることが大切です。
(2) 広告開始時期の制限(同法33条)
宅建業者は、宅地の造成や建物の建築に関わる工事が完了する前に、開発許可や建築確認が取得されている必要があります。つまり、工事が進行中の未完成物件については、その売買や広告を行うことができません。
これは、宅建業法の規定である第33条によって定められています。
未完成の物件を売買することは「青田売り」と呼ばれていますが、宅建業者が青田売りを行う際には、広告を始める時期に制限がかかります。
つまり、未完成の物件に関する広告は、開発許可又は建築確認などの適切な手続きが完了してから行わなければなりません。
(3) 取引態様の明示(同法34条1項)
宅建業法では、宅建業者が不動産売買や貸借に関する広告を行う際に、以下のような方法で取引態様の別を明示する必要があります。自らが契約の当事者として取引を成立させるか、代理人として取引を成立させるか、または媒介して取引を成立させるかの違いを明確に示さなければならないと規定されています。
1. 自己が契約の当事者となって売買や貸借を成立させる場合:「直接契約」と明示
2. 代理人として売買や貸借を成立させる場合:「代理契約」と明示
3. 媒介して売買や貸借を成立させる場合:「媒介契約」と明示
これにより、消費者が宅建業者の取引態様を正確に理解し、適切な判断をすることができるようになります。
【2】表示規約
(1) 自主規制
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、事業者や事業者団体が業種ごとに公正競争規約を設定し、自主規制を行うことができると規定しています(同法12条)。不動産業界もこの規定に基づき、表示規約を自主的に定めています。この法律は昭和38年に制定され、時代の変化に合わせて改正が行われてきました。
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づく不動産業界の表示規約には、以下のような具体的な内容が含まれています。
- 不動産の広告において、正確かつ適切な情報を提供すること
- 誤解を招かないように、表示内容を明確にすること
- 誇大広告や虚偽広告を行わないこと
- 価格や条件の明示、隠れたコストや条件を隠さないこと(例:建築条件の有無等)
- 消費者に対して誤解を与えるような表現や写真の使用を避けること(例:引き渡し済みの物件写真を使用する等)
- 契約内容や条件を分かりやすく説明すること
- 消費者からの問い合わせやクレームに適切に対応すること
これらの規定は、消費者の保護や公正な取引を促進するために不動産業界が自主的に定めているルールです。
(2) 表示の基準
宅建業法が、不動産広告に関する基本的な禁止事項を定めているのに対し、表示規約では、正しい広告とは、ただ嘘(うそ)をつかないだけではなく、消費者が不動産を選ぶ場合に必要と考えられる情報を表示することだという立場から、物件の種類と媒体別に必ず表示すべき事項を定めるなど、不動産広告について、きめ細かいルールが決められています。
例えば、物件と周辺施設までの距離・所要時間を表示するについては、徒歩時間は80メートルにつき1分として表示しなければなりません。又、広告における文字の大きさは、原則として7ポイント以上でなければならないという制約もあります。
広告の文字の大きさの制約も、情報の見やすさや理解しやすさを確保するためにとても重要です!
これらのルールを遵守することで、公正な取引が促進され、消費者と事業者の信頼関係が築かれることが期待されています。
(3) 用語の使用
不動産広告において、消費者を誤認させる可能性のある用語は、一定の指針に基づき制限されています。
- 完全、完ぺき、絶対
- 日本一、抜群、当社だけ
- 特選、厳選
- 最高、最高級
- 格安、堀出、土地値
- 完売
ただし、合理的な根拠がある場合は、これらの用語を使用することが許可される場合もあります。
具体的な例を挙げると、例えば⑥「完売」という言葉は、人気が高く売行きが良いことを意味しますが、実際にその物件が完売しているかどうかは重要です。もし、完売と表示されている物件がまだ残っている場合、消費者は誤解を招く可能性があります。そのため、広告には正確な情報を記載し、消費者が適切に理解できるように配慮する必要があります。
まとめ
集客は円滑な事業のひとつの要であり、多くの顧客を惹きつけるため、ルールを無視した広告をしたくなることもあるかもしれません。チラシだけでなく、SUUMOやホームズ、アットホーム等の不動産ポータルサイトに掲載するインターネット広告も規制の対象となります。
ルールの無視は、宅建業者の信頼を失います。宅建業者は、不動産広告のルールに十分な注意を払って、業務を行わなければなりません。
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